ゴルフにおいてグリップは、クラブと体を結ぶ唯一の接点で、とても重要です。過去にはある有名選手が、しっくり来るグリップが完成したので、そのグリップを忘れないよう、グリップしたまま寝たなんていう、嘘か本当か良く分からない話まであります。ここでは、そのグリップにおいて左手の3本を強く握る意味とアドレスでクラブをソールするとなぜ上手く行かないのかについて解説します。
なぜグリップは左手3本を強く握るのか
グリップの握り方にはいくつか種類がありますが、それらどのグリップの握り方をしたとしても、絶対に欠かせないのが、左手の握り方。
よく、グリップは「左手の中指、薬指、小指を強めに握る」と言われますが、これには身体構造と密接に関係した理由があります。
人間の前腕には2本の骨が平行に存在していて、小指側の骨が「尺骨(しゃっこつ)」、親指側の骨が「橈骨(とうこつ)」と言います。
そして、これら2つの内、「尺骨」は、上腕の骨と直線的に繋がっており、一方で「橈骨」は上腕部分とは連携していません。
まぁ、そんなお堅い話はともかく(笑)、これら2つの骨と、指には連動性があり、中指、薬指、小指の3本は、「尺骨」親指と人差し指は「橈骨」と連携しています。
と、この時点でお分かりかと思いますが、中指、薬指、小指の3本でクラブを握ることがなぜ重要なのかというと、クラブというのは、「尺骨」を軸にして支える必要があるからです。
そのためには、左手の中指、薬指、小指の3本にクラブの重みで負荷を掛けてグリップする必要があります。
何も持たずに肘から先の前腕を回してみるとよく分かるんですが、無意識に腕を回すと、尺骨側が軸に回転しているのが分かるはずです。
これは、クラブを振る際の腕の旋回も同じで、尺骨側が軸になりローテーションが行われます。
…とまぁ、細かいことは抜きに、左手の中指、薬指、小指にクラブの重みを感じてグリップしましょうということです(笑)
※腕は橈骨側を軸に旋回させることも出来ますが、それをやろうとすると、脇がパカっと開いてしまうので、いわゆる、アウトサイドイン軌道のような形で右肩が前に出てきます。
クラブの重みを感じる重要性
上では、左手は尺骨側でクラブを支えるために、中指、薬指、小指でクラブを支える、という話をしました。
これに関連して、よく、レッスンなどで出てくるフレーズで、「アドレスではクラブヘッドの重みを感じましょう」というものがありますよね。
これが、結構重要で、アマチュアの多くはアドレスの際、クラブヘッドをベタッと地べたに付けた状態でグリップ、スタンスを作り、そこからスイングをスタートさせるので、ヘッドの重みを一切感じません。
アドレスでヘッドの重みを感じるというのがどういうことかというと、しっかりと尺骨側でクラブを支えた状態であることを感じた状態からスイングをスタートさせましょう、ということだと私は理解しています。
尺骨側にプレッシャーが掛かっていない状態だと、スイング中にクラブとの接点であるグリップがグラグラして、張りのないグリップ(力みではなく)になってしまい、スイングがメタクソになります。
で、ですね。この尺骨側でしっかりクラブを支える方法もいくつかありますが、私がやっているのは、前傾を作らず脇を締めた状態で体の正面で一度グリップし、地面にそっとソールさせる方法です。
これをやると、尺骨側(左手の中指、薬指、小指)にプレッシャーが掛かっているのを感じることが出来るので、練習場では毎回のようにこのルーティーンでグリップしています。
他にも色々あると思いますが、松山英樹選手なんかは、アドレス特にヘッドを何度か浮かして重みを感じているルーティーンで有名です。
【動画】松山英樹選手アドレス時のルーティーン
松山英樹選手のアドレスからスイングの始動までは、他の選手と比較すると少し特徴的です。
1、クラブヘッドを地面に置いた状態でグリップする
2、ヘッドを何度か浮き沈みさせる(この時に尺骨でしっかりとクラブを支えている)
ちょっと文章だけだとイメージが沸きにくいと思うので、下の動画を見てもらえるとより分かり易いと思います。
この方法が合う合わないは人それぞれだと思いますが、ヘッドをソールしないというのも一つ方法ですね。
私は、ソールをしないと、少し気持ち悪いので別のルーティーンで尺骨軸でクラブを支えています。
お試しアレ。