2015年、2016年と連続で賞金女王に輝いたイボミ選手。その当時の活躍ぶりから、もはや敵なしとまで思われた彼女だが、2017年に入ってからは1勝を挙げてはいるものの、その他の大会では上位に顔を出すことがほとんどないような状態。そんな彼女の不調の原因をスタッツから分析してみます。
イボミ選手の強みはショット
イボミ選手の強みと言えば、なんと言っても、ショットの距離感と方向性。
アイアンのみならず、ユーテリティやウッド、更にはドライバーに至るまで、とにかく曲がらない印象でした。
特に賞金女王になった2015年2016年は凄みがあり、周りの女子プロも、「イボミ選手は、格が違う」といった感じでした。
中継を見るたびに、解説者からも絶賛の嵐で、文句のつけようのないスイングと言わんばかりの褒め殺し(笑)
正直、中継などで語られるゴルフのスイング解説なんかは、結果を出した人間を後付けで褒めるだけの薄っぺらいもので、個人的には全く参考にしませんが、それでも、イボミ選手のスイングは無駄がなく本当に綺麗です。
韓国式のベタ足は勿論、よどみのない一連の動きに加え、無駄な力みを一切感じさせません。
7割程度でスイングしていると本人が語るように、無理に飛距離を追求するわけではなく、常に同じリズムでスイングをしているのが良く分かる。
…が、ゴルフというスポーツは水もので、一度スランプに陥ると、復調するのが本当に難しい。
それは、2年連続で賞金女王になったイボミ選手も例外ではなく、2017年現在は、1勝を挙げ、賞金ランキングで23位と、シード権確保圏内にはいるものの、賞金女王争いは勿論、TOP10圏外。
そんな彼女の不調の原因は、スタッツを見ると良く分かります。
2017年イボミ不調の原因は…
2017年のイボミ選手の不調の原因は、スタッツを見ると一目瞭然です。
平均ストローク13位(71.535)
平均飛距離37位(237.20yd)
フェアウェイキープ率12位(69.08%)
パーオン率24位(68%)
平均パット数21位(1.81)
パーセーブ率7位(86.85)
バーディー率30位(2.95)
この数値の中で昨年と比較して顕著に落ちたのが、パーオン率と、平均パット数、またバーディー率の3つ。
パーセーブ率は全体の7位で86.85%と高いですが、去年はただ一人90%を超えていました。
※パーセーブ率というのは、パーかそれよりも良いスコアを全体のスコアで割った値で、簡単に言えば、100ホール回ったら86回か87回はパーかそれ以上のスコアだということです。
パーセーブ率が全体の7位にも関わらず、バーディー率は全体の30位。
つまり、パーは取れるけど、バーディが取れないということです。
2017年は予選落ちの数こそそこまで多くなかったものの、上位で戦うことも少なく、優勝争いに至っては、1勝を挙げた大会のみ。
それと並び、平均パット数も21位。
一見すると、「パットが不調の原因か」と思うかもしれませんが、中継を見ていると良く分かります、パット以上に深刻なのが、ショットです。
上でも書きましたが、2015年2016年と、彼女のショットはキレキレで、100yd前後の飛距離は、ピンに絡むのが当然と言った感じ。
OKパーみたいな距離を残すか、バーディーを取るかみたいな。
ですが、2017年はパーオン率の低さからも分かるように、とにかくショットがピンに絡まない。
特に見ていて思うのは、引っかけ球が本当に多いです。
更に、それが悪循環となり、
「引っかけ球が増える → スイング改造に着手する → 上手くいかない → スイング改造に着手する → 以下無限ループ」
石川遼選手のような負のループに陥っています。
で、特定の箇所に時間や意識を費やすと、他のことが疎かになり、全体的なゴルフ力が落ちると。
とは言っても、他の一般的な女子プロと比較すると、まだまだ強い選手なのは間違いありません。
不調でスランプと言われるのは、それまでのイボミ選手が凄かっただけで、実際今年1勝を挙げていますからね。
今年の賞金女王は無理ですが、来年、再来年と、また輝いた彼女を見れる時が来ると思います。
個人的には、日本人の女子プロを応援していますが、やっぱり強いライバルは多い方が盛り上がりますからね(笑)
今後の彼女の復調に期待しましょう!