2017年12月現在で、世界ランキング2位と世界トップクラスの実力者、ジョーダンスピース。にも関わらず、彼のスイングはあまり注目を浴びません。その理由が、見た目の美しさに欠けることにあり、特に左肘が引けてしまうことにあると言われています。では、なぜ左肘が引けるとダメなのか、また左肘が引けることのメリットについて解説したいと思います。
ジョーダンスピース選手のスイングの特徴
ちょっとこの画像では見にくいですが、ジョーダンスピース選手は、インパクト前後、更には、トップでの形も含めて、左肘が曲がって(引けて)います。
この左肘が引ける動きというのが、ジョーダンスピース選手のスイングが美しくない(…笑)と言われている最大の原因と言われており、現在のゴルフスイング理論では、「左肘の引け」は修正されることが多いです。
…が、世界トップクラスの選手であるジョーダンスピース選手のスイングが、致命的な欠陥があるわけもなく、別に左肘が引けようが、ある意味、どうでも良いわけです。
というよりも、世界のトップレベルのプロたちで、左肘が引ける(ように見える)選手というのは、実は結構います。
日本で有名なのは、藤本佳則選手で、彼はインパクト時に左肘が曲がっています。
それどころか彼は、「左肘を曲げたインパクトが自分の飛距離の秘訣」とも語っているぐらいで、人によっては、メリットもあるわけです。
ただし、アマチュアの左肘が引けるのと、ジョーダンスピース選手の左肘が曲がっているのは意味が少し違い、このサイトでも度々言っていますが、左肘を飛球線方向や、体の方向に引っ張りこむのはNGです。
これをすると、手元をヘッドが追い越せず、ヘッドが走りません。
そうではなく、ジョーダンスピース選手がやっている左腕の使い方は、左腕を外旋させる動きです。
脇を締めた状態で、左腕を曲げ外旋させる動き。
つまり、フェースをローテーションをさせているわけです。
これは下記リンク先の記事で詳しく書いていますが、フェースローテーションというのは、前腕の回旋でシャフトを回転させる動きで作るもので、左腕を回旋させているということは、ローテーションをしているということです。
参照:アマチュアはフェースローテーションの仕方を間違っている!?
なので、ジョーダンスピース選手のスイングを、フェースを一切ローテーションさせないで打っていると言っている人がいますが、それは間違いです。
フェースの開閉はプロなら必ずします。
地面から浮いている球を打つドライバーならともかく、地面にあるボールを打つアイアンショットなどで、ローテーションゼロで打つとなると、限りなく点で球を捉えなければならず、インパクト前後で大なり小なり、フェースが閉じる動きが入ってきます。
上での画像を見ても、体の正面にあるヘッドを見てもらえると分かるように、フェースが若干閉じているのが分かるはずです。
ですが、フェースローテーションを限りなく抑えた打ち方をしようとしているのは確かで、左手を曲げた状態で外旋動作を行うと、左肘を曲げず真っすぐ伸ばした状態でローテーションするのに比べ、ローテーションの度合いが緩やかになります。
これは、実際にクラブを握って、左腕を真っすぐ伸ばした状態と、左腕を曲げた状態で外旋させてみると良く分かります。
それと、もう一つ注意点というか、インパクト以降、左肘が曲がっている分には問題ないんですが、右肘をインパクト以降、曲げたままにするのは良くないです。
※中には、レベルターンで右肘を終始曲げたまま体を中心とした円軌道で振るといった理論もありますが、ここでは欧米トッププレイヤーの一般的なスイング(肩を縦回転させる動き)を基準にして解説しています。
肩を縦回転させる場合、インパクト以降、右肘が伸展することにより、インパクトゾーンが長くなります。
逆に、右肘が曲がったまま折りたたまれてしまうと、クラブヘッドがインパクト後にすぐ跳ね上がり、低く長いフォローが取れません。
上の画像でも分かるように、インパクト以降、右腕を伸展させフルにリリースを行うと、シャフトと右腕が一直線上になります。
ジョーダンスピースのスイングを真似する際の注意点
上でも書いたように、左肘が曲がっていることそれ自体は問題はないんですが、ジョーダンスピース選手が左肘を曲げているのには理由があり、それが、ジョーダンスピース選手の身体的特徴です。
それが、左利き。
彼は、左利き右打ちで、中学校までは変幻自在の球筋を投げる技巧派ピッチャーとして有名でした。
なので、基本的に左腕の方が右腕よりも強く、感覚が優れているので、左腕リードが強いです。
逆に、一般アマチュアは当然、右利きの人の方が多く、右手主導でクラブを操作している人が多いと思います。
※ここら辺は感覚的な問題で、松山英樹選手は以前、右腕が主導だと自身の感覚を語っていました。
その影響もあってか、グリップも少し特殊な、逆オーバーラッピングです。
一般的なオーバーラッピングは、右手の小指が左手の人差し指の上に来ますが、ジョーダンスピース選手は、左手の人差し指が右手の小指の上にきます。
それと、ジョーダンスピース選手は元々フッカーで、右にプッシュドローを打っていたようなタイプだったこともあり、基本的に左への引っかけミスが多かったと言われています。
そのためか、上で書いたように、フェースローテーションを抑えた打ち方をし、更にはグリップはウィークグリップで握りと、絶対に引っかけミスを出さないぞと言わんばかりの徹底ぶりです。
なので、元々スライス傾向の強いアマチュアがジョーダンスピース選手のスイングを真似するのは個人的には危険な気がします。
ただし、スイングは非常に繊細なバランスで成り立っている運動なので、実際に取り入れてみると、しっくり来る場合なんかもあると思うので、興味があれば、一度試してみるのはアリです。
ちなみに…右利きの私ですが、ジョーダンスピース選手の打ち方が実は得意だったりします(笑)
今でも、基本的にはやりませんが、左に絶対に行かせたくない場合などでは、実際にラウンドでやることもあります。
私は、一つの打ち方を徹底的に磨くというよりかは、自分の体を自在に動かせるようになるのが最終的な目標なので、遊び感覚で色んな打ち方を練習場、実際のラウンド問わず、やってみることが好きなんですね。
あまりオススメは出来ませんが…爆
参考までに!