海外ツアーで優勝経験もあるキムインキョン選手。日本ではまだまだ無名ですが、彼女は韓国スイングの見本とも言えるスイングをしており、海外でもその評価は高い。また、アマチュアの人にとって参考にもなるスイングなので、彼女のスイングの特徴を紹介したいと思います。
アマチュアのお手本は女子プロ
男性女性に限らず、一般アマチュアの人は、基本的には女子プロのスイングを参考にした方が良いと思っています。
というのも、筋骨隆々な人が多い男子プロとは違い、女子プロはスイングやリズムで飛距離を出しているからです。
女子プロの握力の数値知ってますか?恐らく、聞いたらビビるぐらい低いです(笑)
握力30台なんてザラで、40台の握力はほぼおらず、中には20台なんて選手もいました。(握力よりも、背筋とか腹筋などの体幹や下半身の方が大事ですが…)
中には、腕立て伏せがまともに出来ないような人もいます。
勿論、半端ないトレーニングを積んで、凄い数値の人もいるかもしれませんが、基本的には、一般アマチュアのおっさんの方が全然力があります。
なのに、女子プロと一般アマチュアでは、飛距離に差がない、むしろ女子プロの方が飛ぶという謎の現象が起きる。
これが正にスイング力の差で、力の効率がアマチュアとプロでは全然違います。
特に、韓国女子プロは力の効率が素晴らしく、飛距離があるような選手でも、体の動きが忙しくない選手が多い。これは、確立されたスイング理論や運動力学などを体系的に学ぶ土壌が韓国にはあるからだと言われています。
逆に、日本の選手は小さい頃から、下手したらプロになるまで、両親や身近にいるゴルフの上級者がコーチをしていることが多く、感覚に頼った指導が行われ、どうしても、個性が強い選手が多いです。
それが良い悪いの話ではなく、あくまでも、大人からゴルフを始めたような人(私なんかは正にその典型で、野球歴もナシ…)は、”アク”が少なく、理論が確立している韓国人プロのようなスイングを参考にした方が、上達が早いと思っています。
キムインキョン選手のスイング動画
彼女のスイングの特徴は、上の動画を見てもらうと分かりますが、最後の最後フィニッシュでも前傾が一切崩れないところです。
フィニッシュで、体が垂直に立つ選手と前傾角度をキープしたままの選手がいますが、彼女は、最後まで前傾をキープしています。※どちらが良いとか悪いとかではなく、あくまでも特徴です。
前傾をキープしたままで有名なのは、ブルックヘンダーソン選手ですね。
うーん、個人的には、フィニッシュは体が垂直に立つ方が振り切っている感があって好きなんですが、これは人それぞれでしょうね。
アプローチなんかでは、前傾をフィニッシュでもキープすることはありますが。
それと、プロゴルファーの多く(特に韓国や欧米の選手)に見られる右足の動き、よくベタ足と表現される動きですが、キムインキョン選手にも当然あります。
このベタ足というのは、何も地面にベタっと足を付けたまま振ることだけを指しているわけではなく、正しい動きによって自然と作られる右足の動きの特徴を指しています。
アマチュアの人のスイングに多く見られるのが、ダウンスイング以降右膝が前に出る動き。
これが、ありとあらゆるゴルフ界でタブーと言われる動きを誘発する諸悪の根源で、右足が前に出ると、上体が起き、手元が伸び、懐が狭くなり、などなど、最悪なことになります。
スイングはそれこそ一瞬の動作なので、パッと見はプロでも右膝が前に出ているように見えることがありますが(特に日本人のプロに多い)、実際には右膝は左足の方向に近づくような動きをしています。
あと、キムインキョン選手は、後方から見ると手元がテイクバックとダウンスイングで同じ軌道をなぞるように動きます。これは、日本が誇る松山英樹選手にも見られる特徴です。
ただし!
同じところを通るのはあくまでも「手元」で、クラブヘッドは少しループして、テイクバックよりも下の位置を通ります。
これが大半のプロのスイングに見られる特徴で、アマチュアのミスでよくあるアウトサイドイン軌道はこれと逆のループを描いてヘッドが下りてきます。
それともう一つ!
後方から見て手元が同じ場所を通るのならテイクバックと同じような場所に手元を下せば良いかというと、実はそうではないです。(ややこしい…)
トップからインパクトにかけて、多少体の回転が入って来るので、実際には、テイクバックで上げる時よりも手元は下に下りています。
静止画や動画だけでは分かりにくい部分なのと、これはあくまでも感覚なので、どの程度なのかというのは、人によって感じ方が違います。
なので、スイングを作るときは、自分のスイングを撮影しながらやるのがオススメです。
人間の体はそこまで精密に出来ているわけではないので、自分の感覚と実際の動きには誤差が生じていますから。
あと、個人的にオススメなのが、Mトレイサーと呼ばれる、エプソンが出しているスイング解析が出来る機械を使う方法。
これは、ヘッドやグリップ、フェースの動きを細かく分析できる上、プロの数値との比較なんかも出来る優れモノなので、自分のスイングの何がプロと違うのかが簡単に分かります。
ただし、分かることはあくまでも、結果として何がプロと違うのかということで、その動きをしている根本的な原因である体の使い方は、最終的には練習の中で感覚を鍛えるしか方法はありません。
頭だけであれこれ考えてもゴルフがなかなか上手く行かない理由がここにあります。
慣れていない動きは、違和感との戦いなので、心が折れてしまう人も少なくありませんが、プロのようなスイングを目指すのであれば、避けては通れない要素です。
…何を隠そう、私も毎日がホメオスタシス(恒常性)との戦いです(爆)
やっぱ、好き勝手振るよりも動きがぎこちなくなるから、最初は戸惑うんですよね。
で、どうもぎこちない、つまり、気持ち悪いから、今までのスイングに逆戻り、と。怖っ!
でも、周りから、あいつスイング格好良すぎるだろ、と羨望の眼差しを浴びるまで頑張ります(笑)