世界ランク3位の美しき飛ばし屋レキシートンプソン、過去には日本の大会で優勝を飾ったこともある彼女ですが、そのスイングは一見”超特徴的”(変則的?)。なぜあのスイングで球を打てるのか?また、彼女の飛距離の秘密やヘッドスピード、ドライバーの飛距離などについても紹介します。
実はアマチュアにとって参考になるレキシー
変則的なスイングとして知られているレキシートンプソン選手ですが、個人的に彼女のスイングは、アマチュアの人にとって参考になると思っています。
日本のティーチングプロは邪道だと吐いて切り捨てるような方法かも知れませんが、個人的には滅茶苦茶理にかなっているなーと思いながら彼女のスイングをいつも見ています。
…と、話が脱線しますが、アマチュアが上達しない最大の原因は、世のティーチングプロが、「否定的」な意見をメインにし、その人を「型」にハメようとし過ぎるからだと個人的には思っています。
例えば、アマチュアの人でレキシートンプソン選手のようなスイングをしていたとして、それを日本のティーチングプロに見てもらったらどうなると思いますか?
確実に、あれこれ修正をされます。
世のティーチングプロは「自分の中のスイング理論」が正解ですから。
勿論、子供の頃から習うのであれば、韓国選手のようなスイング作りをするべきだと思いますが、我々はもうおっさんです。(…違ったらスイマセン。)
私みたいにゴルフ狂な人間はともかく、練習にそこまで時間を取れない一般アマチュアの人が全くのゼロから慣れない動きでスイングを作ってたら、スコアがまとまる頃には、もうおじいちゃんです(笑)
だから、ゴルフスイングにおけるキモとなる根幹部分は抑えつつ、個性を無理に排除しないのが、上達の近道だと思うんですね。
話を戻しましょう。
レキシートンプソン選手のスイングは、最初にも書いたように物凄い特徴的なんですが、実はアマチュアの人のスイングに通ずるものがあります。
それが、右腕の動き。
一般的に、プロのスイングを正面から見た時、右ひじと体には隙間がなく、向こう側の景色が見えません。
これは、「肩→肘→手首」の順番に全てがきちんとリリースされていることによって可能になる形なんですが、アマチュアの人の多くは、強振しようとすると、右肘がリリースし切る前に手元に力が入り先行し、肘と体の間に隙間が出来ます。
これは一般的にダメな動きと言われていますが、レキシートンプソン選手は、右肘と体の間がガラ空きで、向こう側の景色がガッツリ見えます。※最近は、意識的にスイング改造に取り組んでいるのか、この部分は改善されつつあります。

右肘と体の間がガラ空き
ちなみにですが、よく、「タメを作るためにリリースするな!」と言っている人がいますが、それは嘘です。
「肩→肘→手元」の順番にリリースするだけで、肘より先に手元をリリースするからタメが出来ないだけです。
リリースは切り返し直後から行われます。
リリースをせずにクラブを速く振ることなんて出来ませんから。
話を戻して「右肘と体に隙間」が出来ると何が起こるのか。
グリップの支点が体の右側になりやすく、結果的にヘッドの最下点が右側に来やすくなります。
これがアマチュアの人がよくダフる理由の一つで、右サイドを差し込む動きが必要とされている理由の一つでもあります。
なら、レキシートンプソン選手がダフりまくっているかというと、勿論そんなことはなく(笑)むしろ、ダウンブローが強すぎて鬼のようなターフを取ります。
なぜそれが可能なのか。
ここからがアマチュアの人にとって参考になる部分だと個人的に思っていることなんですが、レキシートンプソン選手…他の選手と比較して、球の位置が有りえないぐらい右側なんです。

ドライバーとは思えない球位置

アイアンとは言え右過ぎる球位置
結局、ダウンブローで打つというのがどういうことかと言うと、ヘッドが通過する最下点よりも手前でボールにコンタクト出来れば良いので、ダウンブローで打てない原因はスイングどうこうというよりも、ボールとヘッド軌道の位置関係なんですね。
それを、「球は体のセンターもしくはやや左寄り」という世間の常識に縛られるから、ダフってしまうんです。
勿論、スイングを改造して、右サイドの押し込みがあれば左側でも球を正しく捉えることは出来ますが、手前でダフる人は、球を右側に置くことで改善されることがあります。
私の知人でも、アーリーリリース気味な人がいますが、スイング映像を参考にしながら球の位置を右側に置いたら、ダウンブローで球を捉えることが出来ています。
レキシー選手のヘッドスピードと平均ディスタンス
レキシートンプソン選手の飛距離は世界でもトップクラスで、毎年のようにトップを争っています。
その平均ディスタンスは、2017年11月現在で274ydで全体の3位です。
平均ディスタンス:274yd(3位)
ヘッドスピードは、平均で47m/s程度と言われており、男子プロと比較すると多少見劣りしますが、女子プロの中ではトップクラスの速さです。
ヘッドスピード:平均47m/s
「あれ?意外と遅くない?」と思うかもしれませんが、一般の男性アマチュアでヘッドスピード47m/sは結構な飛ばし屋の部類です。
個人的な感覚で言えば、マン振りすれば50m/s行くんじゃないかな?と思っています。
プロはトーナメントでマン振りなどまずしませんからね。
7割~8割ぐらいの力で、むしろミート率で飛ばすのがプロですから。
ちなみに、ミート率について感違いしている人が多いかもしれませんが、ミート率について解説した記事のリンクを下に貼っておくので、興味があればそちらも目を通してみてください。
参照:原因はミート率じゃない?女子プロとアマの飛距離の差の原因は?
なぜ打てる?レキシー選手のスイング解説
レキシー選手は、インパクトで両足ジャンプをするクセがありますが、なんであの動きで球を打てるのか不思議に思うかもしれません。
その理由は、アドレスよりも前傾角度が更に深くなっているからです。
トッププロの多くは、インパクトの際、アドレスよりも更に前傾角度が深まります。
これがアマチュアの人にない動きで、アマチュアの人はどちらかというと、インパクトで体が伸びあがる人が大半です。
これには、2つ理由があると思っていて、一つが心理的なもの。
体の前傾が深まるということは、頭とボールの位置が近づくので、どうしてもダフってしまいそうに感じてしまいます。
ですが、実際には、体が伸びあがる方がダフります。
体が伸びあがると、手元が体から離れていきます。
すると、手元がピーンと伸びやすくなり、結果的に、ヘッドと地面がボールよりも手前に落ちやすくなるわけです。
それともう一つが、力の入れるポイント。
アマチュアは、トップからインパクトにかけて背中側に力を入れてしまう傾向があります。
ですが、プロは腹筋側に力を入れてダウンスイングします。
実際に女子プロの飛ばし屋、渡邊彩夏選手は、スイング中「ずーっと、腹筋に力を入れる意識」だと言っています。
この意識を持つと、体が丸まって前傾が深くなりますし、インパクトが強くなります。
これは元々伸びあがり気味だった私も体感していて、腹筋に力を入れてスイングしたその瞬間、飛距離が一瞬で伸びました。
その時は3Uを振ってましたが、10yは伸びました。いや、マジでインパクトの音と厚みが違ったんですよ。
なので、伸び上がってしまう場合は、腹筋に力を入れてみてください。
それと、もう一つが、アドレス時の膝の曲がり具合。
アマチュアの人でアドレスの時にやたらと膝を曲げている人がいますが、これがインパクトとアドレス時の誤差を大きくしてしまう原因の一つです。
プロのアドレスを見てみると分かりますが、膝はほとんど曲げていません。

レキシー選手のアドレス後方

マキロイ選手のアドレス後方
多少は曲がっていますが、前傾を作った上で膝を完全に伸ばすのは、むしろ伸ばす意識が必要なので、プロの多くは膝を曲げる意識は全くないはずです。
今、世界の潮流は、インパクト時に両膝の伸展が入るスイングなので、曲げすぎるとその分、前傾を深めないといけなくなり、誤差が大きくなりやすいです。
このアドレスが、インパクト時に膝を伸展させても正しくインパクトすることが出来る理由の一つです。
これは別記事になりますが、飛距離を伸ばすための方法について解説した内容があるので、興味があればそちらも参考にしてみてください。
非常に男くさい方法ですが、女子プロが20yd近く飛距離を伸ばした方法でもあるので、アマチュアの人にも参考になると思います。