女子プロ界には、世界が誇る飛ばし屋がたくさん存在しますが、全米女子オープンに限って言えば、平均飛距離で世界一に輝いたのは、なんと日本人の葭葉ルミ選手。各国の飛ばし屋を抑え1位を獲得した彼女の飛距離の秘密と、クラブセッティングを紹介。
全米女子オープンでドライビングディスタンス1位を獲得した葭葉ルミ
全米女子オープンと言えば、世界におけるメジャー大会のなかで、最も歴史が古く権威のある大会として知られていて、当然、出場する選手も世界トップクラスの選手ばかりで、飛距離に関しても世界の猛者たちが集います。
そんな中、4日間を通じて平均飛距離No1に輝いたのは、なんと日本人の葭葉ルミ選手。
いや、本当にビックリした。
あの、レキシートンプソンや優勝したパクソンヒョンを抑えての1位ですから、マジで凄い。
勿論、平均飛距離No1=世界で最も飛ばす、というわけではなく、あくまでもその大会において、「向きが逆の2つのホール×4日間」のティーショットの飛距離になります。
仮に、ティーショットが右に曲がってラフに入り、ランが出なかった場合なども計測の対象になるし、ティーショットでアイアンを握っても、計測ホールであれば、それも対象になります。
なので、馬鹿の一つ覚えみたいに、ドライバーを振りちぎれば、上位に食い込むことも無理ではありません。
ですが、葭葉ルミ選手に限って言えば、2017年現在、日本ツアーで2位に約4ydの差を付けドライビングディスタンス1位を保持しているほどの飛ばし屋なので、上位にランキングされても不思議ではないんですね。(それでも、1位は凄い!!)
…が、ここで我々アマチュアゴルファーはこう思うわけです。
なぜ、彼女はそんなに飛ぶのか、と。
身長は「160cm」と、世界の飛ばし屋に比べれば、小柄も小柄、赤ん坊みたいなもんです。
海外の飛ばし屋は、男子も女子も本当にデカい人が多い縦に…たまに横も…笑。飛ばし屋で有名なパクソンヒョンは確かに細身ですけど、身長は170cmありますからね。
そんな中にあって、身長160cmと小柄な上、デカいのは胸だけという彼女が(マテ!なぜ飛ぶのか。
ちなみに、彼女は元々、日本最強の飛ばし屋だったというわけではなく、2016年の時のドライビングディスタンスは、私の記憶が正しければ、上位ではあっても、そこまで目立った位置ではなかったと思います。
実際、2017年に葭葉ルミ選手がドライビングディスタンス1位を獲得するまでは、日本の飛ばし屋と言えば、渡邉彩香選手ってイメージが強いですし。
なので、2017年になって飛距離をグググーンと伸ばした選手でもあります。
そんな葭葉ルミ選手の飛距離の秘密は主に2つあると言われています。
葭葉ルミのクラブセッティング
彼女は元々、クラブやウェアなどは全て、ナイキと契約していました。
しかし、年々加速するゴルフ業界の衰退などにより、ナイキがゴルフクラブの開発から手を引くと発表され、2017年度は別のクラブを使用しています。
そんな彼女のクラブセッティングがこちら。
- ドライバー:クレイジー CRZ-435 (ロフト9.5度~10.5度) シャフト:クレイジー ロイヤルデコレーション(46インチ、硬さX)
- フェアウェイウッド:ナイキ ヴェイパー フライ フェアウェイウッド (3W15度、5W18度、7W21度)
- アイアン:PXG 0311 アイアン(5~9番、P、G)
- ウェッジ:PXG 0311ウェッジ(52度、58度)
- パター:PXG マスタングS
ドライバーのクレイジー??はて??と思った人も多いでしょう。
このクラブ、実は大手メーカーではなく、日本の地クラブと呼ばれるマイナーなメーカーが出しているクラブです。
なので、聞いたことがない人がほとんどだと思います。私も初めて聞きました(笑)
ちなみに、地クラブというのは、大手メーカーと違い、販売数がそこまで多くないので、1本当たりの値段は大手のそれよりも、高くなる傾向にあります。
確かこのクラブは、新品で12~13万円ぐらいだっと思います。
フェアウェイウッドに関しては、元々契約をしていたナイキのクラブをそのまま使っているので、馴染みがあって使いやすいんでしょう。
で、アイアンのPXGというのは、今最もグイグイ来ているアメリカのメーカーで、コンセプトが、「採算を度外視して、開発に金を掛けまくる!」という、なんともおっとこ前なメーカー。
海外の有名選手なんかも多く使用していて、有名どころでは、元世界ランク1位のリディアコー選手が使っています。
葭葉ルミ驚異の飛距離の秘密
さてさて、ここからが本題です。
葭葉ルミ選手の飛距離がなぜこれまで伸びたのか。
まず、1つ目の理由が、クラブの変更。
クラブを変えるだけでそこまで飛距離が伸びるの?と思うかもしれませんが、伸びる時は伸びます。
セッティングを見たら分かると思いますが、彼女はドライバー、ウッド、アイアンと、メーカーがバラバラです。
現在クラブに関しては契約を離れているので、特定のメーカーに拘らず、自分のフィーリングに合うものを選ぶことが出来ます。
勿論、契約メーカー以外のものを使っている選手(例えば、松山英樹選手なんかは、ドライバーが違うメーカー)もいますが、心情として、契約メーカーのものを使いたくなるのが、普通でしょう。
しかも、ドライバーに関しては、最終的に地クラブのものを選んでいるぐらいなので、それなりの数のクラブを試打して、その中から「これだ!」と思うものを選んだはず。
とは言え、飛距離に関しては、これはまだ序の口です。
アマチュアの人なんかもそうですが、クラブ選びばっかりに拘っている人で、正直そこまで飛距離を出せる人を見たことがありません。
飛距離をクラブに求めだしたら、もう終わりです。彼女が飛距離を伸ばした理由は、もっと男前な理由。
それが、「とにかく振って振って振りまくった」こと。
これが、葭葉ルミ選手が飛距離を伸ばした最大の理由です。
え?なにそれ?と思うかもしれませんが、飛距離を伸ばす一番の方法は、とにかく振って振って振りまくることなんです、大マジです。
よく、スイング改造で飛距離アップを求めようとする人がいますが、スイング改造で飛距離を伸ばすなんてことは、アマならまだしも、プロではかなり難しいです。
アマの場合は、そもそもクラブの扱い方に問題がある人が多いので、スイングを改造するだけで、飛距離が伸びることがあります。
ですが、プロは別。
小さいころから作って来たスイング、慣れ親しんだスイングを別のスイングに改造するだけで劇的に飛距離が伸びるなんてことはあり得ません。
むしろ逆で、スイングをイジった結果、成績を落とす人が結構います。
これは当たり前の話で、長い年月をかけて培ってきた体の動きを大人になって大きく変えるのはプロといえども相当に困難だからです。
人間の体はそんなに器用に出来ていません。
それが可能なら、ゴルフを始めて数年でプロになる人続出です。
なら、スイング改造でそこまでの飛距離を伸ばせないのならどうするのか。簡単です。自分自身のスペックを変えて行けば良いんです。
その方法として私がオススメしたいのが、「振って振って振りまくる」です。
実際、葭葉ルミ選手が飛距離が伸びた理由を聞かれ「とにかく、オフシーズンには、ゴルフ練習器具の重たいバットをこれ以上は無理という速さで素振りをしまくっていた」と言っていました。
なんとも男前な答え!笑
でも、それが飛距離アップの答えなんですよ。
仮に、プロ野球選手の中田翔や筒香が今まで一度もゴルフをしたことがなかったとしても、メパッとドライバーを渡したら、簡単にヘッドスピード50を超えてくると思いませんか?
それは、今まで重たいバットをひたすら振って来たからです。
だから、飛距離を伸ばす方法は、とにかく、振る力を付けることなんです。
頭でスイングについてあれこれ考えても、飛距離は伸びません。飛距離を伸ばすには、振る力を付けることです。
有名な話で、イチロー選手は、オフシーズンの練習ではひたすら強振を繰り返します。
実際の試合では、バットコントロールでヒットを量産するイチロー選手が、練習ではひたすら強振しまくっている姿を見て不思議に思ったスタッフが、「なぜ、そんなに強振するのか」質問したそうです。
すると、イチロー選手は「そもそも振る力がなかったら、テクニックもくそもない。振る力があってこその技術。」と言っていました。
いやー、凄い。ただのゴルフ好きなおっさんの私ですが、感動したと同時に、物凄く共感しました(笑)
まずは振る力。
これが一番、飛距離アップに貢献してくれます。
ちなみにですが、葭葉ルミ選手はまだまだ飛距離に納得がいっていないらしく、今後平均で270ydを目指すと言っていました。
色んなタイプの選手がいますが、個人的には、そういうかっちょいい選手は好きなんで、是非今後も頑張って欲しいと思います。